2019年10月27日日曜日

【2018年】管理の過去問の解説 平成30年12月実施 問16~20


一般計量士と環境計量士の共通科目である、計量管理概論(管理)の過去問の解説です。
平成30年(2018年)12月実施 問16~20


問16 測定のSN比を利用することで、測定器の比較や測定条件の改善を行うことができる。測定の SN比による比較と改善に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。


  1. 測定のSN比が大きいことは、校正後の誤差の大きさが小さいことを意味する。
     
  2. 二種類の測定器の測定原理が異なっていても、測定対象量が同じであれば、測定のSN比を用いて、校正後の誤差の大きさを比較できる。
     
  3. 二種類の測定器の比較において、測定環境を誤差因子として取り上げてSN 比を比較することで、環境変化に対してよりロバスト(頑健)な測定器を選ぶことができる。
     
  4. 測定のSN比を改善する実験では、信号因子、誤差因子、制御因子を一つの直交表に割り付けた実験を行うことにより、SN比の信頼性の高い評価が可能となる。
     
  5. 測定のSN比の改善においては、改善による誤差の低減の効果と改善にかかるコストをともに考慮し、それらのバランスに配慮するべきである。




正解は4が誤り。
直交表に直接割り付けるのは制御因子であり(内側割付けという)
誤差因子や信号因子は直交表の外側に割り付ける(外側割付けという)




問17 製造工程の自動化と制御に関する次のア~オの記述について、正しい記述の組合せを下の中から一つ選べ。

ア 今日では、多くのシステムについて自動化が図られているが、その方式はすべてフィードバック制御系の構成によるものである。

イ 自動制御系の設計・解析には、時間の関数である信号のラプラス変換により導出される伝達関数を用いることができる。

ウ 自動制御系の解析では、システムの動的特性でなく静的特性が解析の対象となる。

工 多くの制御要素の複合的結合により構成される制御系の解析には、伝達関数に関する等価変換の手法を用いることができる。

オ インパルス応答法は、自動制御系の応答特性を調べるための一つの手法である。


  1. ア、イ、ウ、オ
     
  2. ア、イ、エ
     
  3. イ、ウ、オ
     
  4. イ、エ、オ
     
  5. ウ、エ




正解は4。
ア→「全て~」の表現は疑ってかかる。

自動制御における制御方式の種類
・シーケンス制御
あらかじめ定められた順序・条件に従って制御の段階を進めていく制御。不連続量を対象として扱う制御で、生産工程での搬送や加工の自動化に用いられることが多い。

・フィードバック制御
フィードバックによって制御量を目標値と比較し、それらを一致させるように操作量を訂正する制御。連続量を対象として扱う制御で、流体のような物理量を制御するときに適している。

・フィードフォワード制御
制御系に外乱が入った場合に、制御結果に影響が出ないように先回りして操作量を訂正する制御。

ウ→動的特性も解析の対象となる。




問18
0~200℃まで測定可能で、デジタル表示の最小表示単位が0.1℃の温度計がある。この温度計を実現できるAD変換器の最小ビット数をpとするとき、pビッ トのAD変換器で実現できるデジタル表示の測定器として正しいものを、次の中から一つ選べ。


  1. 測定範囲が0~200gで、最小表示単位が10mgの質量計
     
  2. 測定範囲が0~100mmで、最小表示単位が10μmのデジタルノギス
     
  3. 測定範囲が0~20Nで、最小表示単位が10mNの力計
     
  4. 測定範囲が0~500kPaで、最小表示単位が20Paの圧力計
     
  5. 測定範囲が0~3Vで、最小表示単位が1mVの電圧計




正解は3。
変位量の範囲と分解能の相対値が一致するものをさがす。
問題文→0.1/200(=0.0005)
1→0.01/200
2→0.01/100
3→0.01/20(=0.0005)
4→0.02/500
5→0.001/3




問19 コンピュータの利用に関する次のA~Dの記述の正誤の組合せとして正しいものを、下の中から一つ選べ。

A 大量のデータの記録を目的に、コンピュータを利用することがある。

B コンピュータに単純な繰り返し処理を行わせるとき、処理回数が大きくなるほど処理速度は遅くなる。

C コンピュータを利用して、インターネットなどのネットワークを介した測定結果の共有を行ってはならない。

D 測定結果の解析におけるヒューマンエラーを少なくするために、コンピュータを利用することがある。


     A  B  C  D

  1.  正 正 正 誤
  2.  正 誤 誤 正
  3.  正 誤 正 正
  4.  誤 正 正 誤
  5.  誤 誤 誤 正




正解は2。
A→正しい。
B→単純な繰り返し処理の場合、処理速度は一定のまま。
C→セキュリティ面で注意が必要だが、測定結果の共有などにおいてもインターネットは活用されている。
D→正しい。




問20 ある機械を、修理をしながら使用した。ある期間中において、この機械の故障の記録を確認すると下図のようであった。なお、各故障後に行った修理に要する時間は、いずれの故障においても3時間であった。この期間中の機械の平均故障間動作時間(MTBF)として正しいものを、下の中から一つ選べ。


図 ある期間中での機械の故障状況の記録


  1. 12時間
     
  2. 100時間
     
  3. 125時間
     
  4. 128時間
     
  5. 500時間




正解は3。
MTBF=(85+202+61+152)/4=125
「平均故障間動作時間(MTBF)」は稼働時間の平均で求めることができる。
Mean Time Between Failure(s)の略。




計量管理概論(管理)の過去問
平成30年(2018年)12月実施

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