2019年10月17日木曜日

【2018年】管理の過去問の解説 平成30年12月実施 問1~5


一般計量士と環境計量士の共通科目である、計量管理概論(管理)の過去問の解説です。
平成30年(2018年)12月実施 問1~5


問1 計測管理の進め方に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。


  1. 計測管理は、計測の目的を達成させるため、測定の計画・実施・活用という一連の業務の流れを、広い視点で体系的に管理することである。
     
  2. 測定の計画では、計測の目的を達成させるために、どのような特性を、どのような方法で測定するかを決定し、測定を確実に実施できるようにする。
     
  3. 測定に使用する測定機器を決めるとき、測定の目的にかかわらず、小さな不確かさが実現できるように、できるだけ分解能の高い測定機器を選ぶ。
     
  4. 測定結果を評価して、測定の不確かさが目的に対して十分でない場合は、測定の計画を見直し、改善する。
     
  5. 計測管理は、工程管理、品質管理、安全管理、環境管理など様々な分野での管理のために重要な活動なので、関連する部署と協力して進める。
     





正解は、3が誤り。測定の目的に合わせて十分な不確かさが実現できるような分解能の測定機器を選ぶ。分解能の高い測定機器を選ぶだけでは、無駄にコストがかかりすぎる場合がある。




問2 製造工程における計測管理に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。


  1. 製造工程における測定では、測定対象を単に測定するだけではなく、その測定の意義や目的を明確にすることが重要である。
     
  2. 製造された製品の検査に使用する測定器を選択する場合、許容差などの製品に要求される基準を考慮する必要がある。
     
  3. 製造工程の管理に使用する測定器のドリフトは、その工程で生産される製品の特性値に影響する。
     
  4. 製造工程の管理に使用する測定器の最適な校正周期は、工程のばらつきの大きさのみで決めることができる。
     
  5. 測定誤差を小さくするために製造工程の管理に使用する測定器の校正周期を短くすると、測定器の管理コストが大きくなることがある。





正解は、4が誤り。測定器の最適な校正周期は、工程のばらつきや管理コスト、測定機器の使用頻度などを考慮して決める必要がある。「~のみ」などの限定的な表現は間違いの選択肢の可能性大。




問3 「JIS Z 8103 計測用語」に含まれる用語について、次のA~Cの記述の正誤の組合せとして正しいものを、下の中から一つ選べ。

A 「国際標準」とは、国際的な合意によって認められた標準であって、異なった地域間を輸送するための標準のことをいう。

B「二次標準」とは、同一の量の一次標準と比較して値が決定された標準のことをいう。
C 「実用標準」とは、計器、実量器又は標準物質を、日常的に校正又は検査するために用いられる標準のことをいう。

   A B C
  1. 正 正 正
     
  2. 正 正 誤
     
  3. 正 誤 正
     
  4. 誤 正 正
     
  5. 誤 誤 誤





正解は、4。「国際標準」とは、国際的な合意によって認められた標準であって、当該量の他の標準に値付けするための基礎として国際的に用いられるもの。
その他の標準として、
「国家(計量)標準」とは、 国家的な決定によって認められた標準であって、当該量の他の標準に値付けするための基礎として国内で用いられるもの。
「一次標準」とは、 最高の計量性能をもち、同一の量の他の標準への参照なしにその値が受容されるように指定され、又は広く認められた標準。
「参照標準」とは、 一般に、ある場所又はある組織内で利用できる最高の測定性能をもち、そこで行われる測定の基になる標準。




問4 国際単位系 (SI) において、ある組立単位を基本単位で表示すると m2・kg・s-3になる。この組立単位として正しいものを、次の中から一つ選べ。


  1. パスカル(Pa)
     
  2. ジュール(J)
     
  3. ワット(W)
     
  4. クーロン(C)
     
  5. ファラド(F)




正解は、3。
パスカル(Pa)→m-1·kg·s-2
ジュール(J)→m2·kg·s-2
ワット(W)→m2·kg·s-3
クーロン(C)→s·A
ファラド(F)→m-2·kg-1·s4·A2




問5 測定誤差に関する次のア~エの記述について、正しい記述の組合せを下の中から一つ選べ。

ア 相対誤差は、系統誤差と偶然誤差のそれぞれの2乗の和の平方根として求められる。

イ 測定器に負のかたよりがある場合でも、実際の測定値は真の値より大きくなることもある。

ウ 測定者が気付かずに犯した誤りやその結果得られた測定値はまちがいと呼ばれ、測定作業に慣れた熟練者でもまちがいは発生する。

工 精密測定室で測定の不確かさを評価した測定器を、環境条件が大きく変動する工程中で用いても、精密測定室で用いる場合と同程度の不確かさで測定できる。


  1. ア、イ、ウ
     
  2. ア、イ、エ
     
  3. イ、ウ
     
  4. ウ、エ
     




正解は、3。イ、ウは正しい。
ア 相対誤差=(測定値ー理論値)÷理論値
また、絶対誤差=測定値と理論値との差、であるため、相対誤差は「絶対誤差を理論値で割ったもの」と言うこともできる。
工 環境条件が大きく変動する工程中で用いる場合、不確かさは大きくなる。




計量管理概論(管理)の過去問
平成30年(2018年)12月実施

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