2019年11月4日月曜日

【2018年】管理の過去問の解説 平成30年12月実施 問21~25


一般計量士と環境計量士の共通科目である、計量管理概論(管理)の過去問の解説です。
平成30年(2018年)12月実施 問21~25


問21 次の文章は、ある生産ラインにおける工程改善のアプローチを記述したものである。品質管理で用いられる図の名称について、空欄( ア )~( ウ ) に入る語句の組合せとして正しいものを、下の中から一つ選べ。

 不良品の発生率を減らすため、現在の不良品の発生状況を現象別に( ア ) で分類したところ、ある現象だけで不良全体の約80%を占めていることがわかっ た。その原因を探るべく、関係者を集め、4Mと呼ばれる作業者(Man)、設備 (Machine)、材料(Material)、製造方法(Method)の観点で意見を出し合い ( イ )にまとめた。
 次に、( イ )で洗い出した各項目が不良の発生にどれだけ影響しているかを把握するため、項目ごとに水準を設定した実験を行い、この実験結果に基づい てより大きな改善が期待できる項目に対策を講じた。その後、対策の効果を確認するため、( ウ )を用いて不良率を経時的にプロットし、不良の発生状況を日々監視している。

  ( ア )     ( イ )    ( ウ )

1 ヒストグラム  特性要因図  管理図

2 ヒストグラム  要因効果図  箱ひげ図

3 パレート図   要因效果图  箱ひげ図

4 パレート図   特性要因図  管理図

5 パレート図   要因効果図  管理図



正解は4。
パレート図→工程で発生している問題を原因別・損失金額別などに分類し、その件数の大きい順に並べて棒グラフおよび累計曲線を図に表したもの。工程が持っている問題を分類して図示する事で、真っ先に改善しなければならない問題を容易に把握できる。

特性要因図→問題抽出に用いられるツール。ある問題に対して関連する原因の洗い出しを行うため、問題(特性)とその発生の原因(要因)だと考えられる事項とを矢印で結んで図示したもの。別名魚の骨図 (fishbone diagram) とも呼ばれる。

管理図→工程において管理したい製品特性値(平均値やばらつきなど)の推移を時間の経過とともに見るもので、工程の状態を監視する手段として用いられる方法である。


ヒストグラム→データの存在する範囲をいくつかの区間に分け、その区間に属するデータの発生個数をグラフ化したもので、データの分布状態を把握したいときに用いる。データの分布の形や、全体の中心、ばらつきの程度などを視覚的に分析できる。

QC7つ道具
品質管理(Quality Control)において、主に統計データのような数値によって分析するために利用される7つのツールのことである。
7つの道具は、パレート図、ヒストグラム、管理図、散布図、特性要因図、チェックシート、グラフである。グラフを管理図に含めて、層別を7つ道具に含めることもあるなど、呼び方、区分けが微妙に違っていることがある。





問22 次のAからCは、サンプリングについて説明した文章である。AからCの説明の正誤の組合せとして正しいものを、下の中から一つ選べ。

A 集落サンプリングは、母集団をいくつかの集落に分け、全集落からいくつか の集落をランダムに選び、選んだ集落に含まれるサンプリング単位をすべて取るサンプリングである。

B 層別サンプリングは、母集団をいくつかの層に分け、全部の層からいくつか の層をランダムに選び、選んだ各層から一つ以上のサンプリング単位をランダムに取るサンプリングである。

C 系統サンプリングは、母集団中のサンプリング単位が、生産順のような何らかの順序で並んでいるとき、一定の間隔でサンプリング単位を取るサンプリン グである。

     A  B  C
  1.  正 正 誤
     
  2.  誤 正 誤
     
  3.  正 誤 誤
     
  4.  誤 正 正
     
  5.  正 誤 正
     



正解は5。
層別サンプリングは、母集団をいくつかの層に分けて、各層からサンプルをランダムに抜き取る方法。(すべての層からサンプルを抜き取る。)




問23 次の図は、ある工業製品における生産工程の管理状態をX-R管理図で示したものである。この状態の解釈及び対応として、誤っているものを下の中から一つ選べ。
ただし、図の上側は平均X、下側は範囲 Rの時間推移をそれぞれ表す。


図 ある工業製品における生産工程のX-R管理図

  1. この工程は統計的管理状態にある。
     
  2. 平均X及び範囲 Rが管理限界の内側にあっても、規格がら外れた製品が発生している可能性はある。
     
  3. 17時以降、平均Xに連続した上昇が見られるため、工程に異常がないかを調査することが望ましい。
     
  4. 範囲Rに0近傍の点がいくつか見られるため、直ちに生産を停止し、これまで生産した製品を全数検査するとともに、測定器の校正を実施する。
     
  5. さらなる安定生産に向け、管理限界を見直すことがある。
     



正解は4が誤り。
Rはバラツキの範囲を表しており、0付近であればバラツキが小さいことを示している。




問24 工程管理のために行われる測定に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。


  1. 一定時間毎にサンプリングした製品を測定したデータのばらつきには、製品のばらつきと測定のばらつきが含まれている。
     
  2. 工程管理の目的で使用する測定器は、工程の管理幅を考慮して選択する必要がある。
     
  3. 工程の管理では、常に、製品の仕様で定められたすべての特性をすべての製品について測る必要がある。
     
  4. 工程内で使用される測定器の安定性を確認する方法の一つに、特性値の安定性が確認された製品を実物標準とし、これを定期的に測定する方法がある。
     
  5. これまで生産した製品の特性値の目標値からのずれが、その許容差に比べ十分に小さい場合でも、工程の稼働状態を調べるための測定を実施すべきである。
     



正解は3が誤り。
「常に」や「必ず」の表現は間違いの選択肢の可能性大。
製品の不良率、不良品発生による問題の大きさ、検査費用などのバランスを考えて、検査対象や検査方法を決める。




問25 標準化に関する下の記述の中から誤っているものを一つ選べ。

  1. 製造工程を標準化することにより、短期的に製品の性能を必ず向上させることができる。
     
  2. 部品やプロセスを統一することにより、製品製造のコスト削減を図ることがある。
     
  3. 検査者により検査結果が異なることを防ぐために、検査手順を標準化することがある。
     
  4. 複数の製品を接続して用いる場合に、それぞれの製品が問題を引き起こすことなく全体として機能するように、製品間の接続方法の標準化を行うことがある。
     
  5. 製品やサービスまたその運用によって生じる危害を防ぎ、安全を実現することは、標準化の目的の一つになり得る。



正解は1が誤り。
1→品質は向上する場合があるが、性能は仕様にもよるため向上するとは限らない。




計量管理概論(管理)の過去問
平成30年(2018年)12月実施

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