2019年10月20日日曜日

【2018年】管理の過去問の解説 平成30年12月実施 問6~10


一般計量士と環境計量士の共通科目である、計量管理概論(管理)の過去問の解説です。
平成30年(2018年)12月実施 問6~10


問6 測定値の標準不確かさを評価する方法として、タイプA評価とタイプB評価の二通りの方法がある。このうちタイプA評価は、一連の観測値の統計的解析による評価である。ある測定対象量をn回反復測定して得たデータ qi(i=1, 2,..., n)があり、その平均q=1/nΣqiをこの測定対象量に対する測定値とすることにした。測定値qの標準不確かさu(q)をタイプA評価するため、データqi,の標本標準偏差sを計算し、これを使ってu(q)を求めた。このとき、標本標準偏差sと標準不確かさu(q)の計算式の次の組合せの中から、正しいものを一つ選べ。
ただし、データqiは互いに統計的に独立であるとする。






正解は、5。

不確かさの評価方法
  • タイプA評価:自ら取得した測定データを統計的手法により標準不確かさを求める方法
  • タイプB評価:統計的手法以外で求める方法。(仕様書や校正証明書など、他者のデータを用いる)
標準偏差の導き方は以下の通り。

一般に、n 個のデータ{x1, x2, ..., xn }が得られ、その平均値が x 、実験標準偏差が s であるとき、測定結果 x の不確かさは次のように評価する。
(Aタイプ評価の基本式)





問7 標準偏差に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

  1. 確率変数xが平均μ、標準偏差σの正規分布に従うとき、xが[μ-2σ, μ+2σ]の範囲に含まれる確率は約95%である。
     
  2. 平均が0、半幅がaの一様分布(矩形分布)に従う確率変数の標準偏差は、a/√3である。
     
  3. 互いに独立なn個の確率変数xi (i = 1, 2, ...,n)が平均μ、標準偏差σの正規分布に従うとき、確率変数 x = 1/nΣxi, は、平均μ、標準偏差σ/√nの正規分布に従う。
     
  4. 確率変数xが平均μ、標準偏差σの正規分布に従うとき、確率変数z = 2xの標準偏差は4σである。
     
  5. 互いに独立な確率変数x1 , x2 の標準偏差をそれぞれσ1, σ2とするとき、確率変数 w = x1 - x2の標準偏差は√σ1222である。
     





正解は、4が間違い。
分散: V(2x)=4V(x)=4σ2=(2σ)2
分散=(標準偏差2より、
標準偏差: 2σ



問8 確率変数xが平均10、分散1の確率分布に従うとき、確率変数x2の期待値として正しいものを次の中から一つ選べ。

  1. 1
     
  2. 11
     
  3. 100
     
  4. 101
     
  5. 110
     




正解は、4。
分散は平均値からの偏差の2乗の平均値(期待値)であり、
さらに分散σ2、平均値μ、確率変数x2の期待値の関係は、
分散σ2確率変数x2の期待値ー平均値μの2乗 となる。
確率変数x2の期待値=1+100=101 となる。




問9 ある測定器を校正するため、認証値xiが付与されたk水準の測定標準を準備し、それぞれに対する測定器の指示値yiを求めた。これらk組のデータ対(xi,yi) (i = 1, 2, ..., k)を用いて、測定器の指示値の、認証値に対する一次回帰分析を行うとき、回帰係数の計算式として正しいものを次の中から一つ選べ。
ただし、x及びyは、それぞれxi; 及び yi, の平均である。






正解は、5。
回帰式の傾きである回帰係数の求め方の問題。
回帰係数の計算式は↓を覚える。




問 10 実験計画法に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

  1. 実験計画法とは、特性値に対して影響のありそうな因子をいくつか取り上げて、その因子の効果を効率的に評価するための方法である。
     
  2. 実験の無作為化、反復、局所管理を実験計画法におけるフィッシャーの三原則という。
     
  3. 実験の無作為化の目的は、実験で発生する偶然誤差を小さくすることである。
     
  4. 実験で取り上げた要因効果の有意性は、要因効果の分散と実験誤差の分散との比をF検定することによって検証することができる。
     
  5. 繰り返しのない二元配置実験において、実験で取り上げた二つの因子間の交互作用は実験誤差と分離できない。
     




正解は、3が誤り。
無作為化の目的は実験で発生する系統誤差を偶然誤差へ転化すること。

フィッシャーの三原則
  • 無作為化:実験順序や空間配置を無作為化(ランダム化)し、ある特定の系統誤差を偶然誤差へ転化させる。
     
  • 反復:1つの処理組合せに対して、2回以上の繰り返し実験を行う。繰り返しにより実験の誤差の大きさが評価できる。
     
  • 局所管理:実験が大規模で、実験全体を無作為化したら誤差が大きくなってしまうような場合、実験をある程度細分化してブロックを構成し、ブロック内で処理条件をランダム化する。



計量管理概論(管理)の過去問
平成30年(2018年)12月実施

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